日本人の両親の元、アメリカで生まれ育った指揮者、柳澤謙/Ken Yanagisawaは、ボストン・オペラ・コラボラティブの音楽監督およびボストン・シビック・シンフォニーの副指揮者です。2024年の夏、謙はアスペン音楽祭に指揮アカデミーのフェローとして招待され、指揮者ロバート・スパーノ氏から指導を受けました。9月からはボストンの名門音大バークリー音楽院の助教に就任することが決まっています。2023年2月、兵庫県立芸術文化センターで関西二期会と日本センチュリー交響楽団と共にモーツァルトの『魔笛』を指揮し、日本デビュー。2026年秋には、関西二期会に再び招かれ、第100回記念オペラ公演で、モーツァルトの『ティートの慈悲』を指揮する予定です。
デトロイト交響楽団で副指揮者を務めた経験も持ち、今までに、ナショナル・シンフォニーオーケストラ、ロードアイランド・フィルハーモニック、ベルリン・アカデミー・オブ・アメリカン・ミュージック、プリマス・フィルハーモニックでカバー・コンダクターとしても活動してきました。さらに、過去3年間ベルリン・オペラフェスティバルのカペルマイスターを務め、フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』、モーツァルトの『魔笛』、プッチーニの『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』、シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』などの公演に携わり、2018年9月にはバカウ・フィルハーモニック管弦楽団との共演でヨーロッパデビューを果たしています。
2024年5月、謙は指揮者ジェームズ・バートン氏の指導のもと、ボストン大学でオーケストラ指揮の音楽芸術学博士号を取得しました。博士課程在学中、数多くのコンサートで大学のオーケストラを指揮し、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』、マーラーの交響曲第2番『復活』、エルガーの『エニグマ変奏曲』などでボストン大学交響楽団と交響合唱団の副指揮者を務め、ボストンシンフォニーホールでのコンサートを成功させました。オペラの指揮にも多数関わり、ボストン大学オペラ研究所の公演で、シェーンベルクの『Erwartung:期待』、フィリップ・グラスの『ハイドロジェン・ジュークボックス』を指揮。ネッド・ローレムの『Our Town』とモーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』の公演では副指揮者を務めました。さらに、博士課程3年間の集大成として、2024年2月にマスネの『サンドリヨン』のメインステージ公演の副指揮、並びに、最終日には指揮をしました。
ボストン大の前には、日本の京都市立芸術大学へ短期留学。その前は、マンハッタン音楽院で指揮の修士号、イェール大学では音楽学専攻で学士号を取得しています。イェール大学に入学する前は、ボストン交響楽団の主席オーボエ奏者、ジョン・フェリーロ氏の指導の下、オーボエ演奏の学士候補生としてニューイングランド音楽院で学び、高校時代はジュリアード音楽院プレカレッジを成績最優等生で卒業しています。
謙が今までに指導を受けたその他の指揮者は、ジョージ・マナハン氏、ウィリアム・ランプキン氏、ベルナール・ラバディエ氏、下野達也氏です。マスタークラスやフェスティバルでは、レナード・スラトキン氏、準・メルクル氏、ジェラード・シュワルツ氏、ヨルマ・パヌラ氏、カルロス・シュピーラー氏などの著名なアーティストや教育者から指導を受けました。彼は音楽家としての人生でこれまでに受けた素晴らしい指導と助言に心から感謝しています。
音楽演奏に加えて、謙はニューヨーク・フィルハーモニックの事務局で働き、NYフィルのコンサートや教育活動に携わった経験があります。フリーランスの写真家としての顔も持ち、彼の作品は、TIME、ニューヨーク・タイムズ、ハフィントン・ポスト、ボストン・グローブ、プレイビル、クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション、YES! ウィークリー、イェール・デイリー・ニュースなどに掲載されています。
(2024年7月現在)