日本人の両親の元、アメリカで生まれ育った指揮者、柳澤謙/Ken Yanagisawaは、ボストン・オペラ・コラボラティブの音楽監督であると同時に、ボストン・シビック・シンフォニーのアソシエイトコンダクター、ニューフィルハーモニア・オーケストラの副指揮者を務めています。ボストンの名門音大、バークリー音楽大学では助教として教鞭も執っています。2023月に関西二期会と日本センチュリー交響楽団と共に、兵庫県立芸術文化センターでモーツァルトのオペラ『魔笛』で日本デビュー。「音楽現代」誌で、「溌剌としてフレキシブルな感性と卓抜な指揮テクニック」「テンポの瑞々しさが光る」「今後が楽しみな新進指揮者のデビュー」と絶賛されました。2026年11月には、関西二期会に再び招かれ、第100回オペラ記念公演でモーツァルトの「皇帝ティートの慈悲」を指揮することが決まっています。
2024年夏にはアスペン音楽祭に指揮フェローとして招かれ、ジェームス・コンロン・コンダクティング賞を受賞。2025年のアスペン音楽祭にも再び招かれることになりました。
デトロイト交響楽団で指揮フェローを務めた経験を持つ謙は今までに、ナショナル・シンフォニーオーケストラ、ロードアイランド・フィルハーモニック、ベルリン・アカデミー・オブ・アメリカン・ミュージック、プリマス・フィルハーモニックでカバー・コンダクターとしても活動してきました。さらに、過去3年間ベルリン・オペラフェスティバルのカペルマイスターを務め、フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』、モーツァルトの『魔笛』、プッチーニの『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』、シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』などの公演に携わり、2018年9月にはバカウ・フィルハーモニック管弦楽団との共演でヨーロッパデビューを果たしています。
指揮者ジェームズ・バートン氏の指導の下、2024年5月にボストン大学から、オーケストラ指揮の音楽芸術博士号を授与された謙は、在学中、ボストン大学交響楽団・交響合唱団や室内楽団を何度も指揮し、ボストン・シンフォニーホールでのブラームス『ドイツ・レクイエム』、マーラー交響曲第2番『復活』、エルガー『エニグマ変奏曲』公演では、アシストタントコンダクターを務めました。
ボストン大学オペラ研究所の公演にも深く関わり、アルノルト・シェーンベルクの『Erwartung Op. 17』、フィリップ・グラス『ハイドロゲン・ジュークボックス』の音楽監督を務めた他、指揮者ウィリアム・ランプキン氏の副指揮者として、ネッド・ローレムの『Our Town』モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』を指揮しました。そして3年間の集大成として、2024年2月にはブース・シアターでのマスネ『センドリヨン』公演を成功させました。
ボストン大の前には、日本の京都市立芸術大学へ短期留学。その前は、マンハッタン音楽院で指揮の修士号、イェール大学では音楽学専攻で学士号を取得しています。イェール大学に通う前は、ボストン交響楽団の主席オーボエ奏者、ジョン・フェリーロ氏の指導の下、オーボエ演奏の学士候補としてニューイングランド音楽院で学び、高校時代はジュリアード音楽院プレカレッジを成績最優等生で卒業しています。
謙が今までに指導を受けた他の指揮者は、ジョージ・マナハン氏、ウィリアム・ランプキン氏、ベルナール・ラバディエ氏、下野達也氏です。マスタークラスやフェスティバルでは、ロバート・スパーノ氏、レナード・スラトキン氏、マーク・ストリンガー氏、ジェーン・グローバー夫人、準・メルクル氏、ジェラルド・シュワルツ氏、ヨルマ・パヌラ氏などの著名なアーティストや教育者から指導を受けました。彼は音楽家としての人生でこれまでに受けた素晴らしい指導と助言に心から感謝しています。
音楽の演奏に加えて、謙はボストン大の図書館でオーケストラ・ライブラリアンとしての仕事を任され、ニューヨーク・フィルハーモニックの事務局で働いた経験もあります。フリーランスの写真家としての顔も持ち、彼の作品はTIME、ニューヨーク・タイムズ、ハフィントン・ポスト、ボストン・グローブ、プレイビル、the Chronicle of Higher Education, YES!ウィークリー、イェール・デイリー・ニュースなどで掲載されています。 
202410月現在)